政府は8日、家電エコポイント制度について、12月から対象商品に付与するポイント数を現行の半分前後に減少させることを明らかにした。経産省は「対象製品の販売が想定を上回る好調で、予算が底を突く可能性が出てきた」と説明。予算不足から当初予定を早めて打ち切ったエコカー補助金制度のような事態を避ける狙いがある。ただ、家電業界からは「突然の
制度変更にすぐに対応できない」と困惑の声が上がっている。一方、住宅版エコポイントは補助対象の拡充が決まり、関連業界は需要増に期待をかけており、政策で明暗が分かれた形だ。
◆戸惑うメーカー
「生産スケジュールを11月に前倒す方向で調整している」。日立製作所の子会社でエアコンや冷蔵庫を生産する日立アプライアンスの幹部
は困惑した様子でこう語る。「部品発注から生産まですべての計画を前倒ししないといけない」(同社)と、早急に対策をとる方針だ。
17カ月連続の2けた増と空前の国内出荷台数を記録している薄型テレビへの影響も避けられない。「とりあえず様子を見極めたい」と話すのはソニーの担当者。年末商戦では例年の数倍の500万台近くが売れるとの見
通しもあり、在庫を積み増していたメーカー側は「現時点では何ともいえない」(パナソニック)と戸惑うばかりだ。
ただ、市場調査会社のBCNは今年度末までの合計販売台数が「当初予想より10%近く増えるかもしれない」とする。制度変更前には12月に需要のピークが集中し、「アンテナ設置などが間に合わず、販売機会を失う」とみられていた
ためだ。
◆“特需”に期待
一方、政策変更で期待が高まっているのが住宅関連業界だ。省エネ住宅の新築や環境負荷の低いリフォームの際に、最大30万円分のポイントが加算される住宅エコポイント制度が拡充されるためだ。具体的には、リフォームに合わせ、住宅用太陽熱利用システムや節水型便器、高断熱浴槽を導入した場合、ポイントが加
算され、事実上の政府補助が受けられる仕組みで、政府は補正予算項目に計上する。
太陽熱利用システムは、屋根に取り付けた装置で太陽光により温水を作り供給するもので、価格は70万円前後が主流。システムを製造販売するノーリツは「最近は市場規模がピーク時の数分の一に減少していた。政策的な後押しを起爆剤にしたい」(広報?IR室)と意気
込む。
少ない水で洗浄できる節水型便器は、TOTOやINAXなどの主力商品の一つ。トイレ市場が2年連続で縮小していただけに、「市場回復と節水型便器の普及効果に期待する」(日本衛生設備機器工業会)という。新たに加わった対象製品の業界は、住宅市場低迷で打撃を受けてきただけに、今回の政策“特需”への期待は大きい。
◆販売
落ち込み危惧
政策変更による明暗が分かれたが、住宅エコポイントは政府が合計2400億円の予算を確保したものの、受け付けを開始した3月から9月までの累計申請額は約246億円分にとどまる。
これに対し9月7日で打ち切られたエコカー補助金は約5800億円の予算を期限前に使い果たし、その後の販売に急ブレーキがかかった。「
来年は補助金で底上げされていた販売がドンと落ちる」(ホンダの小林浩取締役)と危惧(きぐ)する。経済対策で積み増した分も含めて関連予算が6900億円近くにのぼる家電エコポイントも、来年3月には終了する。
エコポイント政策終了時に景気が回復していないと、消費冷え込みが深刻となる恐れもある。
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